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きんいろモザイクを捨てよ、町へ出よう【きんモザ14周年】

 タイトルのオマージュ元を知らないのに書いてていいのかな。

 閑話休題原悠衣先生の偉大なる作品「きんいろモザイク」は本日2023年12月19日で、「まんがタイムきららMAX」2010年1月号にゲスト掲載された始まりの時から数えて14周年を迎えます。これまでのきんいろモザイクの歩み、きんいろモザイクという作品に出会えた奇跡には感謝以外ありません。一生きんモザ宣言☆といってしまいたいところです。

 しかし、それはきんいろモザイクの望むところなのでしょうか。答えはすべてきんいろモザイクにあります。きんいろモザイクは"全て"であり、きんいろモザイクのことはきんいろモザイクに聞くのが一番なのです。

 ここにひとつの話があります。8巻85ページからはじまるこの話は、忍が後輩を欲してたまらなくなるところから始まります。

 きんいろモザイクにおいては、後輩の存在はずっと透明化されていました。学校内で出てくるのはいつもの5人組に穂乃花や香奈、あるいは烏丸先生や久世橋先生、必要な範囲で同学年の生徒がちょこっとだけ。きんいろモザイクがあくまで忍中心の物語である以上、そこに関与しない人間が出てくることはありません。ですから、忍の物語に描かれない後輩の存在は当然わたしたち読者の知りうるところでもありませんでした。

 ただ、この回の話では事情が変わります。忍は後輩たちとの交友関係を求めて下級生の教室のフロアに訪れると、そこで驚くべきものを目の当たりにします。そこにはアリスやカレン、穂乃花や香奈、そして陽子や綾までにも親交のある後輩がいるという事実が存在していました。これでは後輩との交友のない忍がショックを受けてしまうのも無理からぬことです。

 しかしこれは私にとっても衝撃的な出来事でした。アリス達にクラスメイトはともかく、後輩とのかかわりがあったことは想像もできなかった、いや想像することは理論上可能だったかもしれないがそこまで考えが及んでいなかった。きんいろモザイクをどれだけ読んできても、きんいろモザイクという物語を理解することができたとしても、きんいろモザイクという世界を知ることはできないのだと思い知らされました。

 けれど私たちには、不十分でも知ることができる世界があります。「きんいろモザイク」のような名前のつかない、いままさに存在しているこの世界です。忍は最終的に後輩とふれあい、そして「忍コレクション~略してシノコレ~」を完成させるに至りました。私たちも、この世界に目を向け直して日々を生きていくことが求められています。きんいろモザイクを捨てよ、町へ出よう!

 

 ということに気づかせてくれまでするのがきんいろモザイクという作品なのです。きんいろモザイク、偉大なる精神的支柱でありながら自らそれに寄りかかりすぎることの危うさを警告する作品。一度読み、何度も読み、あらためて私たちのいる世界の大切さを明らかにし、そしてそれに従ってきんいろモザイクから自分を突き放して考えたときに一生ファンでいると決意するもよし、ふとしたときに思い出してしみじみするもよし。きんいろモザイクきんいろモザイクとしてそこに存在します。きんいろモザイクきんいろモザイクなのです。きんいろモザイクはつねに素晴らしい存在へと、私たちの心の内で変化し続けるのです。

 きんいろモザイクに無限の感謝を捧げて。