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自由民主党・日本維新の会提出の衆議院議員の定数削減等に関する法律案について

 標題の法案が令和7年12月5日に衆議院に提出されました。令和7年12月7日時点において、衆議院は法案の内容を公開していませんが、日本維新の会がその内容をウェブサイト上で公開した(https://o-ishin.jp/news/2025/12/05/17788.html)ため、簡単にまとめます。

 内容は筆者の個人的見解であり、正確性を担保しません。特に「施行期日について」は、議論のたたき台的な意図のものであり、誤っている等の意見をいただきたいところです。

法案の文字起こし

※配字は不正確です。誰かはてなブログ上での配字の方法について承知していましたらお知らせいただけるとありがたいです。

   衆議院議員の定数削減等に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、衆議院議員の定数削減並びにその具体的な方法等に関する法制上の措置の検討の在り方及び当該措置を講ずべき期限について定め、あわせて当該措置が当該期限内に講じられない場合の措置について定めるものとする。

 (衆議院議員の定数削減)

第二条 衆議院議員の定数については、四百二十人を超えない範囲で、かつ、現行の定数四百六十五人の一割を目的として、削減する。

 (衆議院議員の定数削減の具体的な方法等に関する法制上の措置)

第三条 衆議院議員の定数削減については、現行の衆議院議員選挙制度の維持若しくは見直し又はその抜本的な改正のいずれを行うかについての検討と併せてその具体的な方法について検討が加えられ、これらに係る結論を得るものとする。

2 前項の検討は、衆議院議長の下に設置され、各会派の衆議院議員により構成される協議会において行われるものとする。協議会の組織及び運営に関する事項は、衆議院議院運営委員会に諮って衆議院議長が定める。

3 第一項の結論に基づく法制上の措置については、この法律の施行の日から一年以内に講ずるものとする。この場合において、衆議院議員の選挙区を改定する必要があるときは、衆議院議員選挙区画定審議会設置法(平成六年法律第三号)第四条の規定にかかわらず、同法第二条の規定による勧告の期限を延長する等の措置を講ずるものとする。

4 前項の法制上の措置として制定する法律においては、その旨を明記するものとする。

 (公職選挙法の一部改正)

第四条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

 第四条第一項中「四百六十五人」を「四百二十人」に、「二百八十九人」を「二百六十四人」に、「百七十六人」を「百五十六人」に改める。

 第十三条第一項中「別表第一」を「別に法律」に改め、同条第三項中「別表第一に掲げる」を削り、同条第五項中「別表第一」を「第一項に規定する法律(第百四十九条第二項及び別表第二において「改定法」という。)で定める選挙区」に改める。

 別表第一を次のように改める。

別表第一 削除

 別表第二北海道の項中「八人」を「改定法で定める数」に改め、同表東北の項中「十二人」を「改定法で定める数」に改め、同表北関東の項中「十九人」を「改定法で定める数」に改め、同表南関東の項中「二十三人」を「改定法で定める数」に改め、同表東京都の項中「十九人」を「改定法で定める数」に改め、同表北陸信越の項中「十人」を「改定法で定める数」に改め、同表東海の項中「二十一人」を「改定法で定める数」に改め、同表近畿の項中「二十八人」を「改定法で定める数」に改め、同表中国の項中「十人」を「改定法で定める数」に改め、同表四国の項中「六人」を「改定法で定める数」に改め、同表九州の項中「二十人」を「改定法で定める数」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第四項の規定により同条第三項の法制上の措置として制定することが明記された法律が成立することなくこの法律の公布の日から起算して一年を経過した場合において、次条から附則第四条までの規定は当該一年を経過した日(次条において「一年経過日」という。)から施行し、第四条の規定は同条の規定による改正後の公職選挙法(附則第三条及び第四条において「新公職選挙法」という。)第十三条第一項に規定する法律の施行の日(附則第四条において「改定法施行日」という。)から施行する。

 (令和七年の国勢調査の結果に基づく改定案の作成及び勧告並びに法制上の措置)

第二条 衆議院議員選挙区画定審議会は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第四条の規定にかかわらず、令和七年の国勢調査の結果に基づく同法第二条の規定による改正案(以下この条において「令和七年の国勢調査の結果に基づく改定案」という。)の作成及び勧告を行うものとする。

2 前項の規定による令和七年の国勢調査の結果に基づく改定案の作成に当たっては、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条第二項及び第三項の規定にかかわらず、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区(以下この項において「小選挙区」という。)の数は、二百六十四人を衆議院諸選挙区選出議員の定数と、令和七年の国勢調査を同法第四条第一項の国勢調査とみなして同法第三条第二項の規定の例により得られる小選挙区の数とする。

3 衆議院議員選挙区画定審議会設置法第二条の規定による令和七年の国勢調査の結果に基づく改定案の勧告は、同法第四条の規定にかかわらず、一年経過日から一年以内に行うものとする。

4 政府は、令和七年の国勢調査の結果に基づく改定案に係る衆議院議員選挙区画定審議会設置法第二条の規定による勧告があったときは、当該勧告に基づき、速やかに、必要な法制上の措置を講ずるものとする。

 (新公職選挙法別表第二に規定する各選挙区の議員数)

第三条 新公職選挙法十三条第一項に規定する法律で定める新公職選挙法別表第二に規定する各選挙区の議員数は、百五十六人を衆議院比例代表選出議員の定数と、令和七年の国勢調査公職選挙法十三条第七項の国勢調査とみなして同条後段の規定の例により得られる議員数とする。

 (適用区分)

第四条 新公職選挙法の規定は、改定法施行日以後初めてその期日を公示される衆議院議員の総選挙(以下「改定法施行日以後の初回の総選挙」という。)から適用し、改定法施行日の前日までにその期日を公示された衆議院議員の総選挙及び改定法施行日以後の初回の総選挙の期日の公示の日の前日までにその期日を告示される衆議院議員の選挙については、なお従前の例による。

関係条文

公職選挙法

   公職選挙法

 (議員の定数)
第四条 衆議院議員の定数は、四百六十五人四百二十人とし、そのうち、二百八十九人二百六十四人小選挙区選出議員、百七十六人百五十六人比例代表選出議員とする。

2・3 略

 (衆議院議員の選挙区)
十三条 衆議院小選挙区選出)議員の選挙区は、別表第一別に法律で定め、各選挙区において選挙すべき議員の数は、一人とする。
2 衆議院比例代表選出)議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数は、別表第二で定める。
3 別表第一に掲げる行政区画その他の区域に変更があつても、衆議院小選挙区選出)議員の選挙区は、なお従前の区域による。ただし、二以上の選挙区にわたつて市町村の境界変更があつたときは、この限りでない。
4 前項ただし書の場合において、当該市町村の境界変更に係る区域の新たに属することとなつた市町村が二以上の選挙区に分かれているときは、当該区域の選挙区の所属については、政令で定める。
5 衆議院比例代表選出)議員の二以上の選挙区にわたつて市町村の廃置分合が行われたときは、第二項の規定にかかわらず、別表第一第一項に規定する法律(第百四十九条第二項及び別表第二において「改定法」という。)で定める選挙区が最初に更正されるまでの間は、衆議院比例代表選出)議員の選挙区は、なお従前の区域による。
6 地方自治法第六条の二第一項の規定による都道府県の廃置分合があつても、衆議院比例代表選出)議員の選挙区は、なお従前の区域による。
7 別表第二は、国勢調査(統計法(平成十九年法律第五十三号)第五条第二項本文の規定により十年ごとに行われる国勢調査に限る。以下この項において同じ。)の結果によつて、更正することを例とする。この場合において、各選挙区の議員数は、各選挙区の人口(最近の国勢調査の結果による日本国民の人口をいう。以下この項において同じ。)を比例代表基準除数(その除数で各選挙区の人口を除して得た数(一未満の端数が生じたときは、これを一に切り上げるものとする。)の合計数が第四条第一項に規定する衆議院比例代表選出議員の定数に相当する数と合致することとなる除数をいう。)で除して得た数(一未満の端数が生じたときは、これを一に切り上げるものとする。)とする。

別表第一(第十三条関係) 略

※改正前は選挙区の区割りを全て列挙

別表第一 削除

別表第二(第十三条関係)

選挙区

議員数

北海道

八人改定法で定める数

東北

十二人改定法で定める数

 青森県

 

 岩手県

 

 宮城県

 

 秋田県

 

 山形県

 

 福島県

 

北関東

十九人改定法で定める数

 茨城県

 

 栃木県

 

 群馬県

 

 埼玉県

 

南関東

二十三人改定法で定める数

 千葉県

 

 神奈川県

 

 山梨県

 

東京都

十九人改定法で定める数

北陸信越

十人改定法で定める数

 新潟県

 

 富山県

 

 石川県

 

 福井県

 

 長野県

 

東海

二十一人改定法で定める数

 岐阜県

 

 静岡県

 

 愛知県

 

 三重県

 

近畿

二十八人改定法で定める数

 滋賀県

 

 京都府

 

 大阪府

 

 兵庫県

 

 奈良県

 

 和歌山県

 

中国

十人改定法で定める数

 鳥取県

 

 島根県

 

 岡山県

 

 広島県

 

 山口県

 

四国

六人改定法で定める数

 徳島県

 

 香川県

 

 愛媛県

 

 高知県

 

九州

二十人改定法で定める数

 福岡県

 

 佐賀県

 

 長崎県

 

 熊本県

 

 大分県

 

 宮崎県

 

 鹿児島県

 

 沖縄県

 

衆議院議員選挙区画定審議会設置法

   衆議院議員選挙区画定審議会設置法

 (設置)
第一条 内閣府に、衆議院議員選挙区画定審議会(以下「審議会」という。)を置く。
 (所掌事務)
第二条 審議会は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告するものとする。
 (改定案の作成の基準)
第三条 前条の規定による改定案の作成は、各選挙区の人口(最近の国勢調査(統計法(平成十九年法律第五十三号)第五条第二項の規定により行われる国勢調査に限る。)の結果による日本国民の人口をいう。以下この条において同じ。)の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることとし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。
2 次条第一項の規定による勧告に係る前項の改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、各都道府県の人口を小選挙区基準除数(その除数で各都道府県の人口を除して得た数(一未満の端数が生じたときは、これを一に切り上げるものとする。)の合計数が公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第四条第一項に規定する衆議院小選挙区選出議員の定数に相当する数と合致することとなる除数をいう。)で除して得た数(一未満の端数が生じたときは、これを一に切り上げるものとする。)とする。
3 次条第二項の規定による勧告に係る第一項の改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、変更しないものとする。
 (勧告の期限等)
第四条 第二条の規定による勧告は、国勢調査(統計法第五条第二項本文の規定により十年ごとに行われる国勢調査に限る。)の結果による人口が最初に官報で公示された日から一年以内に行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、審議会は、各選挙区の国勢調査(統計法第五条第二項ただし書の規定により、前項の国勢調査が行われた年から五年目に当たる年に行われる国勢調査に限る。)の結果による日本国民の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上となったときは、当該国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から一年以内に、第二条の規定による勧告を行うものとする。
 (国会への報告)
第五条 内閣総理大臣は、審議会から第二条の規定による勧告を受けたときは、これを国会に報告するものとする。

内容について

 この法案は大きく分けて3つの部分からなります。

① 衆議院議員の定数を1割を目標として420人以下に削減し、その具体的な方法について、1年以内に結論を得て立法すべきこと(第2条及び第3条)。

② 1年以内に①の立法ができなかった場合は、衆議院議員選挙区画定審議会は、令和7年の国勢調査の結果に基づき、小選挙区264議席(25減)となるような区割りを政府に勧告し、政府は、この小選挙区の区割り及び比例代表156議席(20減)となる区割りを実施する法案を国会に提出すること(附則第2条及び第3条)。

③ ②による法案が国会において成立し、施行された際には、自動的に公職選挙法を改正し、衆議院小選挙区264議席比例代表156議席の420議席とすること(第4条及び附則第4条)。

 

 ①について、第3条第1項に規定する結論に基づいて講じられる同条第3項に規定する法制上の措置については、選挙制度や定数について定め、具体的な区割り等については、別途法律を制定することとなると思われます。また、この法制上の措置となる法律が制定された場合には、②及び③は、行われないこととなります。

 ②及び③については、第3条第3項の法制上の措置が行われなかった場合に、"自動的に定数を削減する"ための規定です。

 小選挙区については、人口の変化による1票の較差の増大に対応するため、通常、衆議院議員選挙区画定審議会設置法に基づき、5年に1度の国勢調査の結果に基づいて選挙区割りの勧告が政府に対して行われ、政府はこれに基づいて国会に公職選挙法の改正案を提出しています。

 ②では、この勧告について、特段の規定を置かなければ従前の小選挙区289議席のもとでの区割りを勧告するところ、25減の264議席を前提として勧告を行うこと、令和7年の国勢調査は簡易調査であるところ、10年に1度の大規模調査(令和2年など)の場合と同じような方法で勧告を行うことその他期限の特例等が規定されています。

 そして、②で行われた勧告に基づき、また、比例代表156議席となるような内容で政府は国会に法案を提出し、成立を期しますが、これが成立し、公布された際に、③により公職選挙法を改正し、実際に衆議院議員議席数は、直後の総選挙以後、小選挙区264議席比例代表156議席の420議席となります。

 もちろん、②の勧告に基づく法案が、議会の構成の変化等により、成立しないことも考えられ、必ずしも定数削減が"自動で"行われるとは言いきれない部分があります。この場合は、法律で義務付けられた立法措置を行わない立法不作為の問題もあるかもしれません(この点は、この法律を廃止できれば解決できます。)が、法案が成立せず、令和2年の国勢調査に基づく現状の選挙区割りを維持した場合は、令和7年の国勢調査に基づく1票の較差の是正も行われない(289議席を維持して是正しようにも、根拠となる勧告が存在しない)こととなるため、この点の違憲リスクも負うことになるように思われます。

施行期日について

 この法案は、政治的にも問題が指摘されるところですが、それはここでは触れないとして、複雑な政治的要求から、施行期日の定め方がやはり複雑となっています。

 まず、①に関する規定(第1条から第3条まで)は、公布の日から施行されることとなっています。これは、特に問題ありません。

 しかし、②及び③については、第3条第3項の法制上の措置が行われた場合は、行わないものと考えられますが、そのことを十分に規定しているか、やや疑問があります。

 法案の附則第1条を以下に再度掲げます。

   衆議院議員の定数削減等に関する法律案

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第四項の規定により同条第三項の法制上の措置として制定することが明記された法律が成立することなくこの法律の公布の日から起算して一年を経過した場合において、次条から附則第四条までの規定は当該一年を経過した日(次条において「一年経過日」という。)から施行し、第四条の規定は同条の規定による改正後の公職選挙法(附則第三条及び第四条において「新公職選挙法」という。)第十三条第一項に規定する法律の施行の日(附則第四条において「改定法施行日」という。)から施行する。

 この「場合において」という表現により、「第三条第四項の規定により同条第三項の法制上の措置として制定することが明記された法律が成立することなくこの法律の公布の日から起算して一年を経過」しなかった場合、すなわち①が実現した場合にはそもそも第4条及び附則第2条から第4条までは施行されないということを意図しているのかなと思いますが、そのような立法例が見当たらず、適当な規定ぶりかどうかが分かりません。

 同一の事例はありませんが、少し異なる事例として、以下のもの(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律(平成11年法律第84号))があります。

   労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律

 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)の施行の日がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)後となる場合には、附則第十一条の規定は、組織的犯罪処罰法の施行の日から施行する。

 これは、施行の順序が入れ替わることを避けるための規定であり、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)の施行の日がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)後と」ならない場合は、原則どおり、附則第11条の規定も、「公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日」から施行することとなるものです。この例と、今回の法案では、表現が異なるため、何かしら差をつけようという意図なのかもしれませんが、その効果は私にはよく分かりません。

 いずれにせよ、第3条第3項の法制上の措置として制定する法律において、第4条及び附則第2条から第4条までを削る旨の規定を置いておけば、おおむね解決する問題のようには思えますが。

 そして第3条第3項の法制上の措置として制定する法律が制定されなかった場合は、公布の日から起算して1年を経過した日に附則第2条から第4条までの規定が施行され、新しい選挙区割りを確定する法律が施行されると同時に第4条の規定が施行されて公職選挙法が改正されることとなります。

選択的夫婦別氏(いわゆる選択的夫婦別姓)の立憲民主党案と国民民主党案を比べてみる

 令和7年4月30日に立憲民主党所属の黒岩宇洋議員外5名が衆議院民法の一部を改正する法律案(第217回国会衆法第29号。以下「立憲民主党案」といいます。)を、同年5月28日に国民民主党所属の円より子議員外4名が衆議院民法の一部を改正する法律案(第217回国会衆法第35号。以下「国民民主党案」といいます。)を提出しました。両法案は同日に、日本維新の会所属の藤田文武議員外2名が同年5月19日に提出した婚姻前の氏の通称使用に関する法律案(第217回国会衆法第30号。以下「日本維新の会案」といいます。)とともに衆議院法務委員会に付託され、今後審議が行われるものと見込まれます。

 日本維新の会案が戸籍法(昭和22年法律第224号)を改正し、民法明治29年法律第89号)及び戸籍法上の氏とは別に戸籍に記載する婚姻前の氏を定め、国、地方公共団体、事業者その他公私の団体が、氏名に代えて婚姻前の氏及び名を通称として使用する機会を確保するため必要な措置を講ずる努力義務を課すという複雑な制度を規定している一方で、立憲民主党案及び国民民主党案は、民法を改正し、婚姻後の氏として、両社が一方の配偶者の氏を称することに代えて、各自の婚姻前の氏を称することも可能とする、選択的夫婦別氏制度を導入するものであるが、異なる法案を提出していることからも明らかであるように、両者の法案の内容は多少異なっています。

立憲民主党案、国民民主党案及び日本維新の会案は、衆議院ウェブサイト(以下のURL)から御確認いただけます。

立憲民主党案:

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g21705029.htm

国民民主党案:

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g21705035.htm

日本維新の会案:

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g21705030.htm

 ただ、「民法の一部を改正する法律案」のようないわゆる一部改正法は、この法律案に限らず、改め文と呼ばれる、法令を改正するための技法を用いて条文が構成されており、そのこと自体は慣例とともに合理性があるものの、そのままでは内容が把握しづらいところです。そのため、改め文によって改正された後の民法の規定を示すことにより、分かりやすく立憲民主党案と国民民主党案を比較するとともに、若干私見を述べるため、この記事を書いています。

※本記事には一部私の政治的意見に基づく記述があります。また、その余についても、私は法学に関する体系的な教育を受けたわけではないため、誤りが含まれている可能性があります。あらかじめ御容赦ください。

 なお、私のはてなブログの使用に当たっての知識不足により、法令の形式どおりの字下げ等ができていない箇所がありますので、この点も御了承ください。

その前に:改め文とは?

 民法第749条は、以下のような条文となっています。

 (離婚の規定の準用)
第七百四十九条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

 これに対して、立憲民主党案及び国民民主党案は、民法第749条の改正規定として、以下のような規定を置いています(両案共通)。

 第七百四十九条中「第七百九十条第一項ただし書」を「第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)」に改める。

 この場合は、民法第749条のうち「第七百九十条第一項ただし書」とある部分について、改正後は「第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)」となるように書き換える、ということを意味しています。すなわち、改正後の民法第749条の規定は、以下のようになります。

※改正によって削られる字句を赤取消し線で、加えられる字句を青下線で表現しています。以下同じです。

 (離婚の規定の準用)
第七百四十九条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

 その他にもいろいろなルールがありますが、よくニュースで取り上げられる法改正にはこのような裏側があるということを御理解いただければと思います。

 

 ここからは、各案の改正後の条文と、各条の改正前後の比較及び解説を示します。

 なお、改正のない条については、掲載を省略しています。

立憲民主党

改正後の条文

(離婚の規定の準用)

第七百四十九条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

 (夫婦の氏)

第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する。

2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称すべき氏として定めなければならない。

 (子の氏)

第七百九十条 嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は第七百五十条第二項の子が称すべき氏を称する。

2 嫡出でない子は、母の氏を称する。

 (子の氏の変更)

第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。ただし、父母が氏を異にする夫婦である場合において子が未成年であるときは、特別の事情があるときに限る。

2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母の氏又は父若しくは母の氏と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏又はその父若しくは母の氏を称することができる。

3 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において子が第七百五十条第二項の子が称すべき氏と異なる氏を称しているときは、子は、第一項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、同条第二項の子が称すべき氏を称することができる。ただし、父母の婚姻後に第一項の規定により氏を改めた子については、この限りでない。

4 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前三項の行為をすることができる。

5 前各項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

 (養子の氏)

第八百十条 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦が共に養子をするときは、第七百五十条第二項の子が称すべき氏)を称する。

2 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、前項の規定にかかわらず、養親とその配偶者についての第七百五十条第二項の子が称すべき氏を称する。

3 養子が婚姻によって氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、前二項の規定を適用しない。

改正前後の比較

 (離婚の規定の準用)
第七百四十九条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

 この部分は、第790条第1項の改正に伴う改正であるため、実質的な改正ではありません。

 (夫婦の氏)

第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する。

2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称すべき氏として定めなければならない。

 第750条は、婚姻後は「夫又は妻の氏を称する」とすることにより、夫婦同氏を規定していました。これに対して、改正後の第750条第1項は、「夫若しくは妻の氏を称」するとして夫婦同氏を、「各自の婚姻前の氏を称する」として夫婦別氏を規定し、両者を「又は」で結ぶことによって、いずれか一方を選択可能としているものです(なお、改正前の「夫又は妻の氏」の「又は」が改正後は「若しくは」となっているのは、法令の書き方のルール上必要な改正であり、この点での意味の変化はありません。)。

 また、改正後の第750条には第2項が加えられており、夫婦別氏を選択した夫婦は、婚姻時に「夫又は妻の氏」を「子が称すべき氏」として選択することとなります。

 (子の氏)

第七百九十条 嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は第七百五十条第二項の子が称すべき氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。

2 嫡出でない子は、母の氏を称する。

 第790条第1項は、嫡出子の称する氏を定めています。改正前は、嫡出子は父母の氏を称することが定められていましたが、改正後は、父と母の氏が異なることがあるため、「又は第七百五十条第二項の子が称すべき氏」を加え、嫡出子は先ほどの第750条第2項の規定によりあらかじめ選択しておいた「子が称すべき氏」を称することとなります。この点は、従来いろいろな議論がありましたが、今国会において提出された立憲民主党案は、婚姻時に夫婦が定めた「子が称すべき氏」を称するものとして、第750条第2項及び第790条第1項を改正する法案となっており、嫡出子の氏は全て同じものとなることとなります。

 これに伴い、第790条第1項ただし書の規定は、「離婚の際における父母の氏」の存在を常に前提としていることから、父母の氏が異なる状況がありうる改正後では、建て付けとして不適当となってしまいます。そのため、従来どおり夫婦同氏である場合の「父母の氏」には同項ただし書相当の規定が係ることとし、夫婦別氏の場合の「子が称すべき氏」には係らないこととするため、ただし書を削り、「父母の氏」の次に改正前のただし書に相当する括弧書きを加える改正を行っています(第749条の改正は、これに伴う改正です。)。

 (子の氏の変更)

第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。ただし、父母が氏を異にする夫婦である場合において子が未成年であるときは、特別の事情があるときに限る。

2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と父母の氏又は父若しくは母の氏と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏又はその父若しくは母の氏を称することができる。

3 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において子が第七百五十条第二項の子が称すべき氏と異なる氏を称しているときは、子は、第一項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、同条第二項の子が称すべき氏を称することができる。ただし、父母の婚姻後に第一項の規定により氏を改めた子については、この限りでない。

 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項前三項の行為をすることができる。

 前各項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

 第791条は、父母の氏と異なる子の氏を父母の氏に合わせるための規定ですが、夫婦別氏の場合に応じ、所要の改正が行われています。特に、改正によって加えられた第3項は、子の氏が「子の称すべき氏」と異なる場合(非嫡出子の場合等)において、家庭裁判所の許可を得ることなく、氏を子の称すべき氏とすることができる旨の規定です。

 (養子の氏)
第八百十条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

 (養子の氏)

第八百十条 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦が共に養子をするときは、第七百五十条第二項の子が称すべき氏)を称する。

2 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、前項の規定にかかわらず、養親とその配偶者についての第七百五十条第二項の子が称すべき氏を称する。

3 養子が婚姻によって氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、前二項の規定を適用しない。

 第810条は、養子の氏について規定した条です。養子は、養親の氏を称するので、夫婦同氏の場合でその両者がともに養親となるときや、配偶者の嫡出子を養子とするときは、その夫婦の氏を称することとなりますが、改正後の夫婦別氏の場合は、これらのときに養子は「子が称すべき氏」を称することとなります。

国民民主党

改正後の条文

 (離婚の規定の準用)

第七百四十九条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

 (夫婦の氏)

第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する。

2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、その一方を戸籍の筆頭に記載すべき者と定めなければならない。

 (子の氏)

第七百九十条 嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は第七百五十条第二項の規定により戸籍の筆頭に記載すべき者と定められた者(次条第三項及び第八百十条において「戸籍筆頭者」という。)の氏を称する。

2 嫡出でない子は、母の氏を称する。

 (子の氏の変更)

第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。ただし、父母が氏を異にする夫婦である場合において子が未成年であるときは、特別の事情があるときに限る。

2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母の氏又は父若しくは母の氏と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏又はその父若しくは母の氏を称することができる。

3 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において子が戸籍筆頭者の氏と異なる氏を称しているときは、子は、第一項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、戸籍筆頭者の氏を称することができる。ただし、父母の婚姻後に第一項の規定により氏を改めた子については、この限りでない。

4 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前三項の行為をすることができる。

5 前各項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

 (養子の氏)

第八百十条 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦が共に養子をするときは、戸籍筆頭者の氏)を称する。

2 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、前項の規定にかかわらず、養親とその配偶者についての戸籍筆頭者の氏を称する。

3 養子が婚姻によって氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、前二項の規定を適用しない。

改正前後の比較

 国民民主党案は、立憲民主党案と内容の異ならない部分もありますので、異なる部分を中心に解説します。異ならない部分については、立憲民主党案の解説も併せて御参照ください。

(離婚の規定の準用)
第七百四十九条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

 この部分は、立憲民主党案と同一であり、第790条第1項の改正に伴う改正です。

 (夫婦の氏)

第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する。

2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、その一方を戸籍の筆頭に記載すべき者と定めなければならない。

 改正後の第750条第1項は、立憲民主党案と同一であり、夫婦同氏と夫婦別氏を選択することができます。第2項は、夫婦別氏の場合には、婚姻の際に「戸籍の筆頭に記載すべき者」を定めなければならないとしています。

(子の氏)

第七百九十条 嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は第七百五十条第二項の規定により戸籍の筆頭に記載すべき者と定められた者(次条第三項及び第八百十条において「戸籍筆頭者」という。)の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。

2 嫡出でない子は、母の氏を称する。

 夫婦別氏の場合の嫡出子の氏は、「第750条第2項の規定により戸籍の筆頭に記載すべき者と定められた者」とされ、これを「戸籍筆頭者」と略称しています。

 (子の氏の変更)

第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。ただし、父母が氏を異にする夫婦である場合において子が未成年であるときは、特別の事情があるときに限る。

2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と父母の氏又は父若しくは母の氏と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏又はその父若しくは母の氏を称することができる。

3 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において子が戸籍筆頭者の氏を称しているときは、子は、第一項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、戸籍筆頭者の氏を称することができる。ただし、父母の婚姻後に第一項の規定により氏を改めた子については、この限りでない。

 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項前三項の行為をすることができる。

 前各項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

 (養子の氏)
第八百十条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

 (養子の氏)

第八百十条 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦が共に養子をするときは、戸籍筆頭者の氏)を称する。

2 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、前項の規定にかかわらず、養親とその配偶者についての戸籍筆頭者の氏を称する。

3 養子が婚姻によって氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、前二項の規定を適用しない。

 第791条及び第810条は基本的に立憲民主党案と同一ですが、「戸籍筆頭者の氏」の語があることにより、一部異なる規定となっています。両案の比較において詳述します。

立憲民主党案と国民民主党案の比較

 以下では、立憲民主党案と国民民主党案による民法の改正箇所のうち、互いに異なる箇所を【】で囲み、【立憲民主党/国民民主党】のように、立憲民主党案の部分を水色斜字で、国民民主党案の部分を橙色太字で、間にスラッシュを挟み、この順に記載します。

(離婚の規定の準用)

第七百四十九条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項(子の出生前に父母が離婚したときに係る部分に限る。)並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

 (夫婦の氏)

第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する。

2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、【夫又は妻の氏を子が称すべき氏として/その一方を戸籍の筆頭に記載すべき者と】定めなければならない。

 (子の氏)

第七百九十条 嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は【第七百五十条第二項の子が称すべき氏/第七百五十条第二項の規定により戸籍の筆頭に記載すべき者と定められた者(次条第三項及び第八百十条において「戸籍筆頭者」という。)の氏】を称する。

2 嫡出でない子は、母の氏を称する。

 (子の氏の変更)

第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。ただし、父母が氏を異にする夫婦である場合において子が未成年であるときは、特別の事情があるときに限る。

2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母の氏又は父若しくは母の氏と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏又はその父若しくは母の氏を称することができる。

3 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において子が【第七百五十条第二項の子が称すべき氏/戸籍筆頭者の氏】と異なる氏を称しているときは、子は、第一項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、【同条第二項の子が称すべき氏/戸籍筆頭者の氏】を称することができる。ただし、父母の婚姻後に第一項の規定により氏を改めた子については、この限りでない。

4 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前三項の行為をすることができる。

5 前各項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

 (養子の氏)

第八百十条 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦が共に養子をするときは、【第七百五十条第二項の子が称すべき氏/戸籍筆頭者の氏】)を称する。

2 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、前項の規定にかかわらず、養親とその配偶者についての【第七百五十条第二項の子が称すべき氏/戸籍筆頭者の氏】を称する。

3 養子が婚姻によって氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、前二項の規定を適用しない。

 上記から分かるように、国民民主党案は、立憲民主党案(の元となった法制審議会案)が、婚姻時に「子の称すべき氏」を定めなければならないとしているところを、「戸籍の筆頭に記載すべき者」を定めなければならないとする規定に置き換え、それにより、後続の「第750条第2項の子が称すべき氏」としている部分を「第七百五十条第二項の規定により戸籍の筆頭に記載すべき者と定められた者の氏(戸籍筆頭者の氏)」に置き換えている違いしかありません。

 ただ、「民法の一部を改正する法律案」のような一部改正法案には、法律(今回であれば民法)を改正するための本則とは別に、施行期日、経過措置等を定める「附則」があり、その内容には、立憲民主党案と国民民主党案の間にある程度の違いがあります。

  附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して【三年/一年】を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
 (法制の整備等)
第二条 政府は、この法律の施行の日までに、【この法律を施行するために必要な戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の改正その他の法制の整備その他の措置を講ずるものとする/次に掲げる方針に従い、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の改正を行うものとする】。

 一 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製すること。
 二 氏を異にする夫婦の戸籍に氏名を記載する順序は、この法律による改正後の民法(以下「新法」という。)第七百九十条第一項に規定する戸籍筆頭者、配偶者、子の順序によること。

2 政府は、前項に定めるもののほか、この法律の施行の日までに、この法律を施行するために必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとする。
 (経過措置)
第三条 この法律の施行前に婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、配偶者との合意に基づき、この法律の施行の日から一年以内に別に法律で定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏に復することができる。
2 前項の規定により夫又は妻が婚姻前の氏に復することとなったときは、【この法律による改正後の民法(以下「新法」という。)/新法】その他の法令の規定の適用については、婚姻の際に夫婦が称する氏として定めた夫又は妻の氏を【新法第七百五十条第二項の子が称すべき氏として定めた氏/新法第七百九十条第一項に規定する戸籍筆頭者の氏】とみなす。

 附則第3条の差は技術的なものであり実質的には差がなく、附則第1条の差は制度実施までの準備期間を改正法の公布後3年とするか1年とするかの違いであって、簡単な差であるといえます。その一方で、附則第2条の差は、見るからに大きいものです。

 附則第2条は、政府に対して、民法が改正されることに伴って必要な立法措置をとることを義務付けるものです。国会は立法府ではありますが、法案の起案機能においては、法令の執行を実際に担う行政府との能力の差は否定しきれるものではなく、今回のような議員立法においては、関係する法制の整備について政府に義務付ける規定を附則に盛り込むことが多くあります。この義務付けに当たって、立憲民主党案は特段の方法の指定を行っていませんが、国民民主党案は戸籍法の改正に当たって戸籍の編製方法や氏名の記載順についてどのような立法措置をとるべきかを明示することで、あらかじめ戸籍法の改正の方向性を限定することとしています。

私見

 私自身の思想に基づく見解を先に述べれば、あえて戸籍制度の維持を強調し、立憲民主党案がこれとは異なる方向性を持つように思わせる国民民主党案はあまり好ましく思えず、法制審議会案に基づく立憲民主党案が簡易で適当であるように考えています。そもそも法制審議会案は、戸籍法第14条の改正において、「子が称すべき氏として定めた氏を称する者」とすることとしており、立憲民主党案が成立して政府が附則第2条に基づく法整備を行う際には、法制審議会案同様の戸籍法改正を行うと考えるのが最も自然です。

 とはいえ、実際に戸籍制度の維持について不安を抱く者が多いことから、国民民主党案のうち、附則第2条に係る部分については採用することによって、子は戸籍の筆頭者の氏を称するという原則を維持することを明示しておくことは、一つの方策であると考えます。

 ただ、民法において「戸籍筆頭者」の語を明示することには、別の疑問があります。

 現在施行されている民法においては、「戸籍法の定めるところにより届け出る」というような規定はあっても、戸籍のあり方について規定している箇所は存在しません。戸籍のあり方は、民法の規定により必然的に定まる部分はありつつも、飽くまで戸籍法において規定する事項であり、民法において「戸籍の筆頭に記載すべき者」という規定を置いてしまうことは、民法の領分を踏み越えて戸籍法で定めるべきことを定めてしまっている感があります(もっとも、技術的には可能ですが)。

 そのため、私としては、国民民主党案の要素を採用するにしても、民法の一部を改正する法律案の附則において戸籍法の改正の方向性を明示しておくことで、戸籍制度の維持を明確化するとともに、民法の規定においては飽くまで選択的夫婦別氏の導入を規定するにとどめ、戸籍については言及しない立憲民主党案によることがよいと考えます。

 

(参考)法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について

 法制審議会案は、上記から御参照いただけます。

2024年4月1日現行 九州旅客鉄道株式会社旅客営業取扱基準規程及び旅客連絡運輸取扱基準規程のテキストデータを掲載

 坂井氏による2024年4月1日現行の九州旅客鉄道株式会社旅客営業取扱基準規程・旅客連絡運輸取扱基準規程の福岡市交通局からの開示を受け、改正後の両規程のテキストデータを作成完了したので Google ドライブにおいて公開します。同時に2024年3月16日現行の両規程を「過去の規程」フォルダに移管します。 

drive.google.com

参考:

s3.ap-northeast-1.amazonaws.com

 

 今回の旅客営業取扱基準規程の改正は、同日の旅客営業規則改正により公表される運送約款の一部となった区間外乗車等の規定を削ることが中心となりました。これに該当するものは以下の通りです。

※以下特記なき条数は旅客営業取扱基準規程の条数を、「規則」は旅客営業規則を指します。

・第149条(特定の分岐区間に対する区間外乗車の取扱いの特例)

→日暮里・東京間等の分岐駅の通過を要しない折り返しとなる区間外乗車の特例。改正後は規則第160条の2

・第150条(特定都区市内等における折返し乗車の特例)

→第1項は、特定都区市内又は東京山手線内において、列車に乗り継ぐための折り返し乗車を可能とする特例を定めていた。例えば東京都区内→松本の乗車券で、東中野(中央線各駅停車)新宿(特急あずさ号)松本のような乗車を可能としている。第2項は、横浜市内又は大阪市内において、市外にはみ出して武蔵小杉、尼崎又は久宝寺経由の乗車を可能とする特例を定めていた。改正後は規則第160条の3

・第151条(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の取扱いの特例)

→いわゆる分岐駅通過特例。改正後は規則第160条の4

・第151条の2(海田市・広島間に係る区間外乗車の取扱いの特例)

東広島駅開業による三原・広島間新在別線化後にも山陽新幹線三原以遠と呉線矢野以遠との間で海田市・広島間の分岐駅通過特例を適用可能とするための特例。これの適用は旅客任意であり、補充券案件として有名ないわゆる「海田市特例」はこれを不適用とし本則通り新在別線として広島経由での発売を行うことを指している。改正後は規則第160条の5

・第152条(特定列車による折返し区間外乗車の取扱いの特例)

→直通列車が折返し区間外乗車となる場合に適用される特例。西小倉・小倉間のソニック号が最も有名か。改正後は規則第160条の6

・第154条(特定列車によるう回乗車の取扱いの特例)

→いわゆる列車特定区間が適用される場合であって、適用対象の列車に乗車するときに券面表示経路以外の経路での乗車が可能であることを定めた規定。改正後は規則第160条の7

・第166条(急行券の効力の特例)

・第170条(特別車両券の効力の特例)

→直通列車が折返し区間外乗車となる場合に急行券及び特別車両券にも乗車券同様の特例が生じることを規定。改正後はそれぞれ規則第172条の2、規則第175条の2。これにより改正前の規則第172条の2に条ずれが生じ、第172条の3となるとともに、同条中「前条」を「第172条」に改める改正が行われている。

 なお、第151条の3の見出しが削られていますが、これは単純な誤りであると思われます。

 これと同時に、第207条第4号に後段が加えられ、旅客が女性である場合に常備定期乗車券の氏名の上部に赤色の横線1条を引く取扱いを省略可能である旨規定されました。同号は第208条第3号において準常備定期乗車券に、第209条第7号において補充定期乗車券に準用されているため、これらの定期乗車券についても赤色の横線1条を省略可能となりました。

 これ自体に直接関係のある話ではないですが、同時に規則第36条第2項に定める通学証明書の様式から性別が削除されました。これは、旅客営業規則等に定める通学証明書等の様式変更及び通学定期乗車券の継続発売方法の見直しについて(通知)(令和5年8月7日5高学援第21号)によって文部科学省から教育委員会等に通知された、JRグループ運賃制度担当課長による2023年8月2日付け「旅客営業規則等に定める通学証明書等の様式変更及び通学定期乗車券の継続発売方法の見直しについて(依頼)」別紙「通学証明書等の様式変更及び通学定期乗車券の継続発売方法の見直しについて」における説明によれば、「近年、性自認の多様性について社会の中で関心が高まっていることを踏まえて、通学証明書から『性別』欄を削除」するものであり、同様の理由により定期乗車券からも性別の証明を削るものであると思われます。なお、2024年4月1日以降特殊指定共通券、いわゆるマルス券においても性別が削られた定期乗車券が発売されているようです。

www.pref.osaka.lg.jp

 

 一方、旅客連絡運輸取扱基準規程は付表の改正にとどまりました。連絡会社ごとに連絡担当旅客会社を定める付表1及び旅客会社線急行券等を発売する連絡会社線を定める付表3において箱根登山鉄道株式会社の株式会社小田急箱根への改名を反映するほか、付表3第2号中WILLER TRAINS株式会社(京都丹後鉄道)線及び智頭急行株式会社線について発売する券種から立席特急券を除くかっこ書を削る改正が行われました。

2024年3月16日現行 九州旅客鉄道株式会社旅客営業取扱基準規程のテキストデータを掲載

 坂井氏による2024年3月16日現行の九州旅客鉄道株式会社旅客営業取扱基準規程・旅客連絡運輸取扱基準規程の福岡市交通局からの開示を受け、改正後の両規程のテキストデータを作成し、先刻旅客連絡運輸取扱基準規程のデータを公開しておりましたが、旅客営業取扱基準規程についても作成完了したので Google ドライブにおいて公開します。同時に2023年10月1日現行の両規程を「過去の規程」フォルダに移管します。

drive.google.com

参考:

s3.ap-northeast-1.amazonaws.com

tohokubu-hctr.hatenablog.com

 

 旅客連絡運輸取扱基準規程同様に、旅客営業取扱基準規程についても改正の内容を解説する予定ですが、取り急ぎ改正が行われた条文及び改正の概要について以下に示します。誤りがあれば指摘いただければ幸いです。

 

第39条第2項及び第3項 削除(乗継割引の乗車後の適用)
第96条の2第5項 追加(やくも号コンパートメント)
第97条 削除(乗継急行券等の発売方)
第101条第3項 一部改正(敦賀乗換の幹特在特における特別車両券の通算適用除外)
第104条の4 削除(乗継座席指定券の発売方)
第111条の2第4項 追加(やくも号コンパートメント4人用区画の3人利用の特例、見出しも改正)
第151条第1項 一部改正(分岐駅通過特例から越前花堂・福井間を削除)
第153条第1項第10号 誤記修正(「新千歳空港駅」→「新千歳空港」)
第153条の2第1項 誤記修正(「かかわらず右欄に掲げる区間について、」→「かかわらず、右欄に掲げる区間について、」)
第171条と第172条の間の改行の不足の補充
第178条第1項第8号エ 削除(乗継専用の座席指定券)
218条第1項第4号キ 一部改正(団体乗車券の行程・料金欄の種類欄につき、「急(乗継)」を削除)
第222条第6号 削除
同条第7号(改正後第6号) 一部改正(規則第57条の3第8項にも適用)
第225条第6号 一部改正(第222条の号ずれに対応)
同条第7号及び第8号 削除(首都圏Bグに係る常備特別車両券)
226条第3号 一部改正(第225条の号ずれに対応)
第231条第6号 削除(乗継座席指定券の常備座席指定券)
第232条第4号及び第232条の2第3号 一部改正(第231条第6号の削除に対応)
第235条第1号アの(イ) 一部改正(特別補充券の事由欄に敦賀乗換の幹特在特は「KZ」又は「KZG」を記入)
同(エ) 一部改正(特別車両券について首都圏Bグの平日/ホリデーを廃止、敦賀乗換の幹特在特では新幹線区間に「幹Aグ」在来線区間に「Aグ」を記入するよう改正)
同条第4号アの(キ) 一部改正(原券欄の種別につき、第1号アの(エ)同様の改正) 
同条第9号チ 削除(記事欄の乗継急行券の関連発売となる乗車券)
同条第12号カ 追加(敦賀乗換の幹特在特の特別車両料金は幹在各別に再掲欄に記載)
第236条第1項第2号アの(セ)及びカの(イ) 削除(第331条第2項の削除による)
同カの(エ)(改正後(ウ)) 一部改正(アの(セ)削除によるずれに対応)
同条第3項 一部改正(北陸新幹線金沢・敦賀間開業に伴い、「金沢」を「敦賀」に改正)
第251条第2項 削除(乗継請求のある急行券の不回収)
第262条 見出し改正(273系運行開始に伴い「個室」→「個室等」)
第269条 一部改正(乗継請求がらみ)
第271条第3項 一部改正(首都圏Bグ区間相互発着の特別車両定期乗車券の乗り越し)
第272条第5項 削除(乗継割引の全区間にわたる急行券に変更する場合は変更前の急行券を1券片とみなす)
同条第6項 削除(未指定特急券から同一項だが同一列車群ではない列車の指定席特急券への変更の特例→規則第248条第2項へ)
第276条の2 削除(首都圏Bグの乗り越しの適用料金区分、条番号ごと削る)
第288条の直後に改行を挿入
第309条第3項 一部改正(首都圏Bグ区間の特別車両定期乗車券不正使用の増料金計算方)
第324条第2項ただし書 削除(乗継割引適用の団体乗車券により発売した急行券座席指定券の払いもどし方)
第326条 削除(普通乗車券に対する関連発売の表示の転記及び払いもどしの取扱方、乗継割引関係)
第327条 一部改正(首都圏Bグ区間の特別車両定期乗車券特例払いもどしの計算方)
第331条第2項 削除(乗継割引の証明を受けた乗車券類の一部のみ払いもどす際の取扱方)
第344条第2項 削除(首都圏Bグに係る旅行開始前の傷い病傷等による有効期間の延長の取扱方)
第355条第2項 削除(首都圏Bグに係る旅行開始後の事故による有効期間の延長の取扱方)
第356条第2項 削除(首都圏Bグに係る旅行開始前の事故による有効期間の延長の取扱方)
第369条の3第1項第1号 一部改正(未指定特急券を所持する旅客の冷暖房装置故障の場合の取扱方を明確化)
第371条の2 新設(敦賀乗換の幹特在特で事故列変指定席充当不可が生じた場合の取扱方の特例)
第375条第4項 一部改正(急行券を所持する旅客の誤乗のための未指定特急券発売列車の普通車指定席空席による無賃送還)
同条第5項 誤記修正(「前各号」→「前各項」)
別表第6の2 一部改正(料金専用補充券の事由につき、「10乗継」を削除、「29KZ」「30KZG」「31幹Aグ」を追加、車内補充券の事由につき「22乗継」を削除、「33KZ」「34KZG」「35幹Aグ」を追加)

2024年3月16日現行 九州旅客鉄道株式会社旅客連絡運輸取扱基準規程のテキストデータを掲載

※テキストデータについてご指摘を受け、2024年3月29日14時33分、14時58分及び19時47分に修正を行いましたので、19時47分以前にダウンロードされた方は再ダウンロード願います。また、同じく14時58分及び19時47分に2023年8月28日及び10月1日現行の旅客連絡運輸取扱基準規程も修正を行いましたので同様に再ダウンロード願います。

 

 九州旅客鉄道株式会社旅客連絡運輸取扱基準規程及び旅客連絡運輸取扱基準規程については、坂井氏が福岡市交通局に開示請求した2023年8月28日現行及び2023年10月1日現行のものを先日私がテキスト化し掲載しておりましたが、坂井氏が再度福岡市交通局に開示請求を行い、2024年3月16日現行のものが開示・坂井氏のウェブサイトに掲載されたため、改正箇所を確認しております。

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 現時点で旅客連絡運輸取扱基準規程については確認が完了し、改正箇所をこれまで同様 Google ドライブにアップロードしました。旧規程のフォルダ移動は旅客営業取扱基準規程についても確認が完了した時点で予定しているため、現時点では新旧双方の旅客連絡運輸取扱基準規程が最上層に存在している状態となっております。

 2023年10月1日現行と2024年3月16日現行との間での旅客連絡運輸取扱基準規程の改正点は以下の通りです。

 

第27条の2

 北陸本線金沢・敦賀間の廃止に伴い、金沢で改札内乗継となるIRいしかわ鉄道線連絡の特別急行券の発売が廃止となりました(旅客連絡運輸規則旧第31条第4項)。当該条文では改札内乗継の対象となる乗車を全区間にわたって同一の設備に乗車する場合に限っていましたが、規程第27条の2第2項においてこれを緩和し、JR線内で特別車両を利用する場合に限り異設備の乗継を可能としていました。規則第31条第4項の削除に伴い規程第27条の2第2項も削除となりました。

 なお、規程第27条の2第1項は福知山乗継となるWILLER TRAINS連絡の特別急行券について規定した規則第31条第3項に対する類似した規定であり、こちらは存続しています。

 

第43条

 第43条は乗車変更の取扱方について旅客営業取扱基準規程の準用を定めた条であり、旅客営業取扱基準規程の改正に伴って改正が行われています。

 第一に、旧条文で「第364条から第373条まで、」とあった部分が「第364条から第369条の4、第370条から第371条まで、第372条、第373条、」に改正されています。これは、旅客営業取扱基準規程第369条の5が連絡運輸に及ばないことの明確化、及び同規程第371条の2の新設によるものであると考えられます。

 旅客営業取扱基準規程第369条の5は、グランクラス(A)がアテンダントサービスを中止し、グランクラス(B)としての運転となった場合の取扱方を定めた規定です。グランクラス(A)は連絡会社線に直通する列車には連結されていないため、旅客連絡運輸取扱基準規程において準用する必要はないといえます。

 なお、グランクラスの運転が開始されたのは2011年3月5日ではありますが、当時は全列車にアテンダントの乗務があったため2011年3月12日現行の東日本旅客鉄道株式会社旅客営業取扱基準規程に第369条の5は存在しません。その後いつの時点で改正が行われたか不明ではありますが、2023年8月28日現行の九州旅客鉄道株式会社旅客営業取扱基準規程には第369条の5が存在します。そのため、この点については改正洩れであるといえます。

 旅客営業取扱基準規程第371条の2は、北陸新幹線金沢・敦賀間開業に伴い新たに設定された北陸新幹線富山・敦賀間の特別急行列車と新幹線以外の線区の指定する特別急行列車を、敦賀駅改札内乗継する場合に特定の特別急行料金で発売される特別急行券(旅客営業規則第57条の3第8項、いわゆる幹特在特)のうち指定席特急券について、旅客営業取扱基準規程第371条による事故列変を扱う際に一部区間で指定席に乗車できなかった場合の払いもどし方について定めた条文です。旅客連絡運輸規則第33条は、会社線連絡となる特別急行券について、旅客会社線内において第57条の3が適用となる場合は特定の特別急行料金によって特別急行券を発売するとしていますが、旅客営業規則第57条の3第8項が適用される新幹線の特別急行列車はもちろん、新幹線以外の線区の特別急行列車についても旅客会社線に直通することを予定していないため、事実上旅客連絡運輸規則は旅客営業規則第57条の3第8項を準用しておらず、よって旅客連絡運輸取扱基準規程が旅客営業取扱基準規程第371条の2を準用する必要はないといえます。

 第二に、準用される旅客営業取扱基準規程の条文を列挙した注1から第326条が削られています。旅客営業取扱基準規程第326条は、旅客営業規則第57条の2の規定による乗継割引のために証明がなされた乗車券について、同規則第271条第3項の規定により関連する急行券座席指定券を同時に払いもどす必要があるところ、これを緩和し別途所持する急行券座席指定券と併用可能な乗車券に証明を転記することですでに証明のある乗車券のみの払いもどしを可能とする規定でした。乗継割引廃止のために旅客営業規則第57条の2及び第271条第3項が削除されたため、旅客営業取扱基準規程第326条も削除され、旅客連絡運輸取扱基準規程第43条からも当該部分が削除されたものです。

 なお、旅客営業取扱基準規程第369条の5は当初より旅客連絡運輸取扱基準規程第43条注1の列挙に含まれていませんでした。

 

付表1

 西日本旅客鉄道株式会社が連絡担当旅客会社となる連絡会社につき、ハピラインふくいが追加されています。

 

付表3

 乗継割引の廃止に伴い、従来旅客会社線急行券等を発売可能な連絡会社を各号で定める際の発売可能な券種について、「新幹線特別急行券(乗継急行券を含む。)発売連絡会社線」となっていた第2号の表現が、「新幹線特別急行券(乗継ぎとなる特別急行券を含む。)発売連絡会社線」と変更となりました。実際の運用はよく把握していませんが、第4号との兼ね合いでかっこ書きが実質的に意味を持つのは箱根登山鉄道伊豆箱根鉄道ぐらいでしょうか。

「東北部ほかほかセンター」一時非公開のお詫び・再公開のお知らせ

 2024年1月23日から1月30日にかけて、当ブログ「東北部ほかほかセンター」を諸事情により一時非公開としておりました。同期間に当ブログの内容を参照したいと考えていらっしゃった方々にはご迷惑をおかけいたしました。

 現在から「東北部ほかほかセンター」を再公開いたします。よりよい記事を掲載できるよう努力いたしますので、今後とも「東北部ほかほかセンター」をよろしくお願いいたします。